人生のなかで「あの瞬間」に戻してくれるチケットは、
何枚あるのだろう。
例えば、映画の半券。
久しぶりに袖を通したコートのポケットから、
折れ曲がったそれが出てきたら…
あの日の空気、隣の横顔、ふわふわのポップコーンとコーラの泡
帰り道の、雨上がりのにおいまで鮮明に思い出すことができる。
そのチケットに出会わなければ、
思い出すことはなかったかもしれない出来事。
写真はきっと、
記憶を呼び起こすチケットになってくれると信じている。
誰もが写真を残せるようになったからこそ、
もう一度、写真の価値を問いたい。
私たちが販売するのは、写真。
けれど、本当は写真ではない。
胸がおどる空間とにおい、
過ぎてゆく時間と忘れたくない思い出。
そして…ある日、
一枚の写真を手にしたときに
いつでも、
あの日に戻ることができる幸せのチケットを残したい。